展覧会アーカイブス 2022

縫い合わせる stitching together 西尾美也×岡本光博
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作家紹介
- 西尾 美也
- 岡本 光博
掲載紙
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長方形の布を縫い合わせた家の中に、ブランドのタグを縫い合わせたシャツを置く。西尾美也さんのギャラリーの空間に合わせた「人間の家」は、心地よい空間が家とはなにか、と思索へ誘う。岡本光博さんの「服飾個人史1~岡本家」は衣装のブランドを示す布タグをつなぎ合わせる。
毎日新聞 2022年12月23日
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自他縫い合わせ 社会と向き合う
衣服は自分を着飾ると同時に、他人の偏見を生み、新たな交流を阻害する側面もある。西尾美也は、そんな衣服の功罪に着目し、別の可能性を解放する活動を展開している。「人間の家」シリーズでは、何人もの古着を切り抜き、テント状に縫い合わせて屋外に設置することで、本来1人用の衣服を集団で共有できる「家」に変換してきた。
今回はこの「人間の家」を、28日で閉廊するギャラリーギャラリー(GG)の天井や内壁に合わせて制作した。縫い合わせた布地は10-50センチ四方。同会場を利用した作家や関係者から古着や染色生地を集めた。西尾は「ギャラリーのサイズ感を保存でき、テキスタイルに対する思いも詰まっている」と語る。
そこに岡本光博の衣服のブランドタグ916枚で作ったシャツが置かれる。同じ縫い合わせた作品でもこちらは作り手のしるしの塊。ブランドは商品の質を保証すると同時に、高付加価値があるとの幻想も消費者に抱かせる。「人間の家」に、ブランド偏重の価値観を揺さぶる作品が置かれることで、衣服を通じて自分や他人、社会と向き合うことを促される。
GGはファイバーアート(繊維造形)作家の故小林正和と草間喆雄(てつお)、国文学者の浅井伸一の3人で1981年に設立した。88年から運営に携わるディレクターの川嶋啓子は「いろんな人にこの空間で遊んでもらい楽しかった」と振り返る。今後は上京区に拠点を置き、過去の展示の記録や新たな企画のコーディネートなどをするという。
多くの作家や鑑賞者、支え手らを結びつけてきたGG。最後まで、自分と他人の価値観や記憶を縫い合わせ、新たな気付きを生むアートの可能性を示してくれた。(三村智哉)京都新聞 2022年12月24日
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12月25日 凡語
昭和初期のビル最上階にあるホワイトキューブ(白い空間)は、晴れた日に差し込む自然光が美しい。移ろう光は、布や糸で作られたテキスタイルアートの繊維を透過し、表面に陰影を加え、細やかな表情をもたらす▼「ギャラリーギャラリー」というギャラリー。本誌美術面では「GG」の略称で表記してきた。京都・四条河原町を少し下った所にある小さな画廊は28日、41年の歴史を閉じる▼繊維を素材とするファイバーアートの先駆者だった故小林正和さんと草間喆雄(てつお)さん、知人の国文学者浅井伸一さんが1981年4月に開設。当初は「見ること」を追求するため、ガラス越しに鑑賞する無人展示だった▼その後ディレクターとして川嶋啓子さんが引き継いだ。50~60年代に欧州で興り、世界に広がったファイバーアートや現代美術を軸に発信し、独自の存在感を放ってきたが、若手の利用が減り、新型コロナ禍で来場者も減った▼最後の展覧会は、展示経験のある作家らから集めた生地の切れ端や古着を、美術家が四角く大小に切って縫い合わせ、スペース全体を覆うように飾る▼布は使い手も製造された国も年代もさまざま。縫い、結び、重ね、組み合わせる。作品のように、コロナ禍や戦争、格差でバラバラになった世界をつなぎ合わせられないか。京都新聞 2022年12月25日

展覧会備考
企画:深萱真穂