展覧会アーカイブス 2016

高見晴惠展
room1




作家紹介
- 高見 晴惠
掲載紙
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小さな単位がはらむ深遠な世界
小単位の単純なものが多様で豊かなものを作る。人体から宇宙、自然界、機械、人間の社会まですべてそうだ。1980年代から活躍する京都出身の作家高見晴恵の個展は、シンプルな銀色の紙片から深い世界を展開している。
床一面に広がるのは、白や灰色の風景だ。川の流れのようにうねる模様があり、墨絵のようでもある。しかし、何かで着色している訳ではない。ひしめき合っているのは、屏風(びょうぶ)のように折られた、膨大な数の銀色の折り紙約1万枚。15センチ四方の正方形を半分に折り、さらに八つ折りにして山谷を作り、それを立ててぎっしりと並べる。鋭角の三角、台形、ひし形が無数に連なって、霜や氷柱のような印象だ。あるいは、幾何学の集合はデジタル的でもあり、俯瞰(ふかん)した街のようでもある。
銀の面が床を反射して白色になり、折りの角度や紙片の密度が作る微妙な陰影が薄い黒色を生み出す。蜜になるほど黒が濃くなっていく。それが、全体に濃淡をもたらす。所々キラっと光るのは、わずかに角がよれた紙片。何より自然光がふんだんに入るギャラリーの窓が、作品に豊かな表情をもたらす。夕立の時は色を暗く沈ませ、雨上がりは明るく輝き出し、夕刻はたそがれに染める。時間が空間に吸収されていくよう。
金が太陽とすれば、銀は月。明から暗へ月の満ち欠けのような空間の移ろいは、光と闇、白と黒、生と死をはらんでいる。無人の展示。(河村亮)京都新聞 2016年8月20日

展覧会備考
無人展