展覧会アーカイブス 2016

「本の衣服」展 限界芸術 45人の感動
room1+EX





作家紹介
- 赤木 恵理
- 飯田 亜希子
- 井上 麻由美
- 大江 よう
- 菊池 麻未
- 橘田 仁美
- 木村 浩紀
- 工藤 恵未
- 久保田 玲奈
- 桑田 麻弓
- 小泉 伊代
- 小山 千晶
- 財津 里沙
- 佐藤 綾
- 鈴木 裕美
- 関 美来
- 曽我 真奈美
- 高橋 涼子
- 土井 直也
- 殿岡 由佳子
- 友廣 あゆみ
- トーマス=ヒバ=アリ
- 永井 俊平
- 西田 亜紗子
- 根本 絵美
- 林 凡乃
- 平井 幸恵
- 福井 茉莉子
- 藤谷 さやか
- 松田 かや
- 三上 司
- 宮園 夕加
- 山岸 雅弥
- 吉沢 智美
- 劉 齢遠
- 小山田 紀子
- 山本 美穂子
- 二宮 とみ
- 眞田 岳彦
- 木田 景子
- 島田 彩子
- 高橋 志織
- 野田 あずさ
- 森沢 麗奈
- 吉富 彩
掲載紙
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日常と芸術の「際」つくり出す美
哲学者の鶴見俊輔は、芸術を「純粋芸術」、「大衆芸術」、「限界芸術」の三つに分類し、芸術家ではない人がつくり、楽しむ芸術を限界芸術と名付けた。「限界」と聞くと崖っぷちのようだが、イメージされるのは住宅地と荒れ野の周縁、何もない広っぱのような場か。眞田岳彦は、衣服をメッセージや問いを発するメディアとして造形する作家。体験型の作品やワークショップを開催しながら、芸術家でない観客を触発し「限界芸術」へと誘ってきた。
「本の衣服展」では、眞田が主宰する造形集団「衣服造形七月七日会」が本にちなんだ造形を発表する。多様な技術や職業をもつ45人のメンバーの作品は、本のサイズをはるかに超える編みぐるみのようなブックカバーや、手に取られることを拒絶するような突起のあるブックカバーあり、ページを裂いて撚(よ)った紙の糸あり、本の一節が刺しゅうされた布もある。
眞田の作品は、口を開けた茶色のフェルトオブジェ。キャプションに「数千年前、人間は獣毛を撚り合わせることで面状の物体になることに気づいた。人間は常に芸術と生活の際(きわ)に生きている」とある。実用品と造形物の、日常と芸術の「際」には美への突破口があると示唆する。
ところで今回、テーマとして本が選ばれたのは、それが芸術品の対抗としての日用品だからなのだろう。いまや本は知識を伝えるメディアとしての一線を退き、コーヒーや雑貨と一緒に売られる消費財、知と生活雑貨の「際」だ。そのことには一抹の寂しさもあるのだが、「際」は、もともと広っぱで、そのものには、なんの意味もないもの。そこで楽しみや美を自分でつくり出す場だ。「際」から、自分の思う美の方向へと踏み出す45人の作品は、それを先導する。(沢田眉香子・著述業)京都新聞 2016年1月23日

展覧会備考
眞田塾メンバー 45名による 1/16 トーク カタログあり