展覧会アーカイブス 2014

マツムラアヤコ展 woman
EX




作家紹介
- マツムラ アヤコ
掲載紙
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野太い迫力 織られた裸体
安倍首相が旗を振らずとも女性の進出著しいのがギャラリー界。今週訪問した展覧会を見返すと、出品作家のほとんどが女性作家だった。
テキスタイル作家マツムラアヤコの作品は、綴織(つづれおり)によるコスチューム。ヌードのだまし絵が織り込まれていて、着ることで裸に見えてしまう作品だ。女性の私的な領域にも関わらず、時代や社会での価値や意味づけに翻弄(ほんろう)され、時にタブーとされるヌード。それを公然と露出し、ご丁寧に胸元に「SEX」と織り込んである。それが女性作家の作品であることを考えればコンセプトは明らかすぎにも見えるのだが、テキスタイルという手の込んだ手法が、作品の読みの厚みへと、見る者を誘う。
人体の立体的なかたちとなるように型紙を起こし、パーツのかたちをそのまま綴織で織り、無縫製で人体の形をつくっている。手織りの生地は分厚く、無縫製のためゴワゴワと膨らんで、堂々たる相撲取りのような姿だ。肌色から褐色までの暖色で染めた糸が、ラフな諧調で裸体の立体感を表現する。ちまたに流通するセクシーな裸体とはほど遠い、おおらかでふてぶてしい肉体の存在感がある。
女性がこの作品を実際に身に付けた写真が会場のファイルで見られる。モデルの生身の女の子のかわいらしい顔と、綴織のだまし絵ヌードコスチュームの迫力とのギャップは、誘惑と相撲の張り手が同時に繰り出されているような違和感があり、痛快だ。そこであらためて胸元の「SEX」という三文字に目を向ければ、作品は裸体の「誘うイメージ」のパロディーともとれるし、対戦相手を土俵に誘う挑戦状にもとれる。さて、男性はこれをどう読むのだろうか?
制作する側を席巻している女性作家のアートを見る側としての男性の目線は、今までと違う次元で重要性を増している。女性がいきいきと輝くアートの世界に、男性は積極的に参画していただきたい。(沢田眉香子・著述業)京都新聞 2014年10月11日

展覧会備考
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