展覧会アーカイブス 2011

−Place that begins to be spun−
room1




作家紹介
- 有田 やえ
掲載紙
-
染色作家“再生”の創作
母の死 やっと向き合えた 事故直後結婚、子育て 募る思いを布に
尼崎JR脱線事故で母親を失った兵庫県西宮市の染色作家有田やえさん(37)が、事故から6年を前に、中断していた創作活動を本格的に再開した。結婚、出産、子育て…。事故後に大きく変わった生活も落ち着きを取り戻し、母の死と向き合うことができるようになった。時に厳しく、時に優しかった母への思いを一枚一枚の布に染め上げる。
2005年4月25日朝。大阪市の音楽事務所に出勤する母直子さん=当時(56)に「行ってらっしゃい」と声を掛けた。何げない日常。だが、これが最後の会話になった。事故車両の前から2両目に乗った直子さんは帰らぬ人に。
もっと会話を続けていれば母はあの電車に乗らなかったのではないか。自問する日々が続いた。町を歩いていても、見知らぬ赤ん坊の笑顔やきれいなメロディーに自然と涙が流れた。
事故から約3ヶ月後に結婚。06年8月には長男を出産した。「孫と一緒に買い物や散歩をしたかったやろうなあ…」。子供好きだった直子さんを思うと寂しさが込み上げたが「母も私を大切に育ててくれた」と、感謝の気持ちも強くなった。
ことし3月、京都市で事故後初の個展を開催。縦2.2メートル、横4.4メートルの白い綿布を藍色に染め、その中に本をイメージした水色の四角い模様をちりばめた。「一人一人の物語が詰まった本が集まり、世界を織り成している」。ばらばらの個人がつながって生きるさまを表現した、という。
直子さんは今も、やえさんの物語の中で生きている。「日常の中で大切な人を思い出し、元気を取り戻すきっかけになる作品を作り続けたい」京都新聞 2011年4月25日

展覧会備考
−