展覧会アーカイブス 2002

商品価値を持つ言葉 水
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作家紹介
- 野田 凉美
掲載紙
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水をテーマに対照的な個展
人は水がなければ生きられない。いのちにとって欠かせない水も、それをみつめる個のまなざしには当然ながら差異がある。造形表現もまた同様だ。
繊維造形作家の野田凉美は、日本人にとっての水の変化に文明批評的なまなざしを盛り込む。ミネラル分の豊富なおいしい水が身近にあり、清流やせせらぎの音に耳を傾けることができた古人と異なり、近・現代の日本人は近代化や開発による都市化の波とともに、それらを失った。そのかわりに商品価値を増してきたのは天然、ミネラル、健康、ナチュラル…をうたった水や品物である。それら自然や健康指向のキーワードをパソコン処理でタイポグラフィックにプリントした布地を細かく裁断して編んだり服地に仕立て、女性用のコートをつくり、吊している。訪れた人との相互交流的な描き込みアイデアもある装置的空間が楽しい。(太田垣 實)京都新聞 2002年1月19日
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蛇口付きのいす2点、レインコート、鑑賞者型作品など。
朝日新聞 2002年1月23日
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野田凉美作品展「水」を考える機会提供
ちまたに溢(あふ)れる「商品価値を持つ言葉」について問う野田凉美の作品展が、京都市下京区のギャラリーギャラリーで開かれている。
蛇口をひねれば出てくるが、いつしかペットボトル入りを飲むことを当たり前に思うようになった水。「商品価値をもつ言葉 水」と題された今回の個展は、私たちにとって“水”とは何なのかを、衣服や家具といった生活に身近な造形を通じて、考える機会を設けている。
ブルーなど水をイメージした色彩のナイロン素材の糸で編んだり、カラフルな「天然」「ミネラル」「健康」「無添加」という言葉をプリントしたり、水玉模様と「雨」とプリントした布で作ったりした長いコート5着がハンガーに掛けられ、会場に吊(つ)られている。
コートの合間に、床から垂直に伸びる白い管が数本立つ。管の先からは、「川」「水」という言葉が編み込まれたオブジェが、こんもり突き出す。まるで水しぶきを上げて噴き出すかのような形をしている。
野田は言葉をプリントした布を細く裂いてテープ状にして、編み針で編んでゆくという手法で、衣服の形を作り上げてゆく。前のシリーズは「商品価値を持つ言葉 ダイエット」。新聞・雑誌・テレビ・広告等に頻繁に出てくる言葉。私たちを様々な商品価値を持つ言葉が取り巻いている。そういった言葉の呪縛(じゅばく)から逃れ目覚めるために、言葉を編み込んでいった服に手を通して意識を解き放とうというのだ。
今回はコートに腕を通すことはできない。その代わり、薬溶液が入ったパッケージに似た「新鮮凍結人血漿(けっしょう)ミネラル健康保存水」と印刷されたものに、見に来た人それぞれが「水」について思うことを文字や絵で加筆して残すことができる。
この展示では積極的に考えたり、感じたりすることが求められる。野田は考えることや感じることに消極的になってしまった現代人を憂えるのではなく、自作を通して見に来た人にも表現の場を得てもらおうとしている。(アートプロデューサー 原 久子)日本経済新聞夕刊 2002年1月24日

展覧会備考
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