展覧会アーカイブス 1997

福の増幅
room1

作家紹介
- 戸矢崎 満雄
掲載紙
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ハンティング・アート 福の増殖 現代美術家 戸矢崎満雄さん(42)
福の象徴で冒険する
実家は呉服屋。店頭から倉庫に積まれた衣料品の間からのぞく、商標の福助の笑顔が、少年時代の戸矢崎満雄さんの脳裏に焼き付いた。3年前、京都の民芸品店で福助人形に再会。約80体を集めた。小指に乗る1センチほどの人形から、どっしりした50センチほどの人形までさまざまだ。
「福の増幅」は、そのコレクションを、画廊の一室に直線的に並べるインスタレーション(仮設展示)だ。別室では、福助を写したスライドを上映する。「福助は『福にあやかりたい』という、日常の素朴で通俗的な願望の象徴が、誇張され変容されてきた姿」と戸矢崎さん。
これまで300枚のパンティーを段階的にピンク色に染めた作品や、何千個もの同色のボタンを並べた作品など既製品を使うことが多かった。しかし今回は、骨とう品をそのまま並べる。コレクターの収蔵品展とどう違うのか。
「集めた福助は百年前のものもあれば、十年前のものもある。値段もさまざま。それぞれ不協和音を奏でていますが、全体としては一つの旋律がある。それを指揮するぼくの感性や品性を見てほしい」
戦国時代の茶人、千利休は、中国や朝鮮の雑器を美として見立てた。アレンジすることで、新しい価値を生み出す利休型の軽やかな美こそ、現代美術に残された可能性、と戸矢崎さんは見る。
日本人の幸福への願望を背負った福助に、いかに新しい意味と意外性を付け加えられるか。勇気のいる冒険だ。
個展は12月6日から26日まで、京都市下京区河原町四条下ル東側寿ビル5階の「ギャラリーギャラリー」で開かれる。(山盛 英司)朝日新聞 1997年11月30日
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戸矢崎満雄が自ら収集した福助人形を使い、「福の増幅」と銘打ったインスタレーション(仮設展示)を試みている。赤い床に豆粒ほどの大きさから50センチほどの高さのものまで80体が整然とこちらを向いて並んでいる姿はどこか不気味でもあるが、むしろ、こんなにいろんな福助があったという事実にまず驚かされる。いかにも福々しいものから、びっくりしたり困っているように見えるものまで顔の表情も実に多彩だ。日本人の招福の願いが、福助の姿ひとつとっても多様な姿で表されてきたことが分かり、日本文化の豊かな厚みを意外なところで発見した気分になる。収集、比較という行為の面白い可能性を感じさせる発表だった。(山)
京都新聞 1997年12月13日

展覧会備考
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