展覧会アーカイブス 1996

熊井恭子個展
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作家紹介
- 熊井 恭子
掲載紙
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ファイバー・ワーク(繊維造形)の分野で活躍する有力作家のひとり熊井恭子=東京在住=が、京都では8年ぶりに個展を開いている。ふたつの画廊を会場に、つごう5つの空間を使っての規模大きな発表に意気込みを見せる。
この作家が20年にわたって素材に使い、特色ある造形表現を支えているのがステンレス鋼線だ。金属線だから、ふつう一般には、冷たく硬質で糸のような柔らかさに欠けると思われがちだが、この人の手にかかるとそうした予断や先入観は払しょくされて、ステンレス線という現代の新しい材質が、さまざまな表情とイリュージョン(幻影)を漂わせて見る側の目を楽しませ、繊維造形としての豊かさを実感させるのだ。
二つの画廊を会場にした発表は、ひとつが新作群だけを設営。もう一つの会場は近年に海外などで発表した作品を中心にしている。新作の方は、ステンレスのバネ線でつくった大きな繭玉のような造形が数多く積まれて部屋からあふれ出したような光景や、目粗く編んだ立方体や円筒造形を量塊性を伴って空間設営した構成もある。
既に発表した作品群の方は、ステンレス線の無数の束を流動する波か雲のようなイメージで大きく広げたり、岩壁を伝うステンレス線の滝の流れや、水に映る円筒造形が水上都市建設のような幻想を現出させる装置的な作品もある。ステンレスという人工素材でありながら、自然の光と風を吸収して変質したような柔らかみもあり、しかも日本人作家の造形に乏しい量塊の力も兼ね備えた、したたかな発表である。(太)京都新聞 1996年3月30日
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熊井恭子展
1996年3/23-4/4 京都・ギャラリーギャラリー
1996年3/26-3/31 京都・ギャラリーマロニエ
二つのギャラリーの計5室を使っての、大分在住の繊維造形作家・熊井恭子さんのステンレススティール糸を素材にした作品展開。ギャラリーギャラリーには新作を、マロニエにはこれまでの流れを辿る代表作を展示した。新作は、一室に金属糸で形づくった中空の球が部屋からあふれるほど積まれ、もう一室には金属糸を絡めて造形した樹幹や生育する植物をイメージさせる作品を設置した。緻密な織り組織の表現から、繊維が絡まり合うダイナミックな表現まで、金属という物質がこんなにも繊細な、或いは多様な存在であることにあらためて驚く。『染織α』1996年6月号No.183

展覧会備考
マロニエ3,4,5室と同時開催(3/26-31)