展覧会アーカイブス 1996

SPIRITUAL MESSAGE
room1/2




作家紹介
- 青野 卓司
掲載紙
-
針金による人体のイメージを基本として鮮烈な赤の紙粘土を付着させた青野卓司の作品は、その針金の身体の上部が不安定に絡まることによって、まるで人体が破裂した瞬間のような表現となっている。さらに、壁に付着した赤い紙粘土の破片には、人体の爆発を直接暗示するかのようでもある。しかしながら、真っ赤な身体が砕け散る表現からは、いやでも原爆といった人類の生み出した桎梏(しっこく)の兵器を連想せざるを得ないのだが、残念ながらそのような人類史的なレベルでの消え去ることのない大きな禍根と作者の距離が見えてくる材料はない。
そのことは今回展示されていたもう一つの作品が加わることによってより曖昧(あいまい)となる。床に矩形に敷き詰められた赤い紙粘土によって何かがわき起こるような表現を暗示するのは仏によるムルロア環礁の核実験を暗示するようだが、このような高度に倫理的かつ政治的問題に対して日本の作家としての視点がこんなに単純化され得るだろうか。(中井康之・西宮市大谷記念美術館学芸員)京都新聞 1996年3月2日

展覧会備考
−