展覧会アーカイブス 1988

VANISHING <into the distant view> by HIDEHO TANAKA
room1/2


作家紹介
- 田中 秀穂
掲載紙
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ファイバーワーク(繊維造形)による装置的表現を試みる田中秀穂。床一面に広がる白い木綿布に、バーナーで焼失した5本の線が走る。壁と壁の間に張りめぐらされた木綿布にも、同じような焼け跡の線群が…。布という素材にこだわり、「焼く」という行為にこだわり続けるこの作家の、一見過激な優しさとでもいうべきか。(F)
京都新聞 1988年4月2日
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VANISHING <into the distant view> by HIDEHO TANAKA
1988年3/26-4/8 京都・ギャラリーギャラリー
火で消失することで現れる自然の偶然性を作品に取り入れている田中秀穂さんの個展。今回は10mほどの一枚の綿布をギャラリー空間に垂らし、等間隔にバーナーで焼いている。綿布をスクリーンに焦げた部分が枯木立のように浮き上がるが、布の自重に張り裂けそうな危うさを含みながら静かなシーンを展開している。『染織α』1988年6月号No.87
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田中さんの作品には、布などの素材を燃やすことで得られる失われたもの、またそこから新たに生まれ出る何かがあるような気がします。たとえば、燃やされたことによって生じた大きな穴のある布を白い部屋の床に、おくことによって生まれる三次元的な空間、そして、第2室のように壁から壁へ部屋を横切るような形で吊られた布の上にある細い線による焼けこげたあと、そこに残された色などから、新しい今までには無かったものを見せてくれます。それは、もやすことによって消え去ったものが、実は、大きな存在感として、人々の頭の中や心の中に逆に生まれてくるようなものではないでしょうか。白や生成りのただの布きれが、燃やすという行為を得ることによって、それは、大きな変貌をとげ、ただの布ではない、何か意味のあるものとして生まれるようです。作品を目のあたりにしている私たちに、それは、何か得たいの知れない恐怖であったり、逆に、ほっとさせてくれるような優しさであったり、相反するものを、同時に感じさせてくれるのでは、ないでしょうか。そのところに、田中さんの燃やすという行為によって得られる、素材の変貌、そして、作品の魅力を感じるのではないでしょうか。
また、焼かれた形跡を残した布は、このギャラリーの空間にある種の緊張をもたらしてくれたように思います。とかく甘くなりがちな木の床にたれさがっている布は、布自身のやわらかな表情を持ちながらも、燃やされ、こげた形跡を私たちの目の前におしだすことによって、日常なれきったものを見ることにたいして、一種の“喝”をいれてくれたような気がしたのは、私だけだったのでしょうか。ギャラリーギャラリー 川嶋 啓子

展覧会備考
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