展覧会アーカイブス 1988

TOYOKO WAKABAYASHI TEXTILE WORKS
room1/2



作家紹介
- 若林 豊子
掲載紙
-
工芸的な素材を扱いながら、さまざまな表現行為に挑む女性作家たちが、今週の画廊街に目立った。
数本ずつより合わせ、濃いブルーや黄緑に染め分けた糸の直線群が、画廊空間に交差する若林豊子の個展会場。セッティングの仕方に難は残るが、ふりそそぐ光のように上下、斜めに走る直線糸群の重層状況には、清澄な透明感が漂い、優しい糸の表情を生み出している。(F)京都新聞 1988年3月19日
-
若林豊子展
1988年3/12-3/25 京都・ギャラリーギャラリー
天井から床面までぴんと糸を張り「雨の糸」という文章表現をそのまま具現したような作品。白を基調にうす緑やみず色の綿またはレーヨン糸をより合わせたり毛羽立たせたりした凝った糸使いで、微妙な表情を見せた。それらは糸の張りようで霞や木立ちにも見えて楽しい。表現の手段が単純な分、展観者の想像力を素直にくすぐる作品であった。『染織α』1988年5月号No.86
-
若林さんは、ギャラリーの空間に1足早く春の気配を感じさせてくれる空間構成をしてくださいました。
第1室は、自分で撚られた糸が組み合わされあるいは、編まれて、床から天井へ扇状にのびて、まるで、木立のような作品でした。糸の材料からえらばれ、染められた糸たちは、窓からの自然光をあび、まるで森や林の1部分をそのままこの白い部屋に運び入れたような、決してえらぶれない、ナチュラルな優しい作品になっていたような気がします。そして、日が落ちかけ照明が入る頃になると、床におとされた木々の影たちがまた、1段と様々な空間の広がりやイメージをさそってくれました。第2室は、織られたものから、前へ順番に織る部分を少なくして行き、一番前は糸だけの構成でなりたつ作品2点が、部屋に設置されていました。この作品もまた、春の風や雨の創造をさそうものになっていました。織られたものから織りのない、密から粗への並べ方は、いろいろ構成の方法があるのでしょうが、若林さんの場合、1セットでうまくまとまった作品になったのは、糸の太さから、色のトーンまで、精密な考えのもとに作られたものであったからではないでしょうか。そしてそれは、何ともいえない奥行きと広がりをもった作品になったように思われます。またここでも、木の床にうまくマッチしたナチュラルで暖かい空気を感じさせてくれました。これは、金属などでは、表現できない糸のもっている自然さとやさしさが、織るという行為を追求しておられる若林さんの手によってうまく表れた結果ではなかったでしょうか。まだまだ若い若林さんにとって、彼女の持っているこの自然さとやさしさをこれからも、大事にされて、制作活動を続けていってほしいと思いました。ギャラリーギャラリー 川嶋 啓子

展覧会備考
−