展覧会アーカイブス 1988

MASAO YOSHIMURA exhibition
room1/2




作家紹介
- 吉村 正郎
掲載紙
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鉄や石といった硬い素材とは対照的に、吉村正郎が扱い続ける布は、一見柔らかな素材だが、一本の糸から成り立つ布も何十枚、何百枚と重ねられ、この作家の手で縫い締められると、強じんな相貌(ぼう)を見せる。今回は縫い行為をやめて、布を細かく裁断した。二つ折りにした木綿布の内側だけをわずかに残して幅1センチ間隔で連続裁断し、幾重にも重ね合わせた半ドーナツ形の立体。切られた布の間から糸がほどけてふくらみを見せ、未裁断の内側部分と不思議な響き合いがはじまる。布は、また、新たな相貌を見せてきた。(F)
京都新聞 1988年2月20日
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吉村さんの作品は、過去何回か、拝見したことがありました。そのいずれも布を何十(ママ)にも重ね縫いつけられたかなりの重量感を感じさせられる作品を発表しておられる時でした。今回は、そのシリーズより少し離れた角度で、布を見つけられた作品の一つだったような気が、します。布を半分におりそれを両端から少し残して1cm間隔で切られた布を幾重にも重ね半円状に置かれた布達は、様々な表情を見せてくれます。カッターナイフで切られた部分は、いままでの束縛をのがれたかのように糸きれを出しながら、自由にやわらかい表情を見せているのに対し、耳のところから数cmで切り残された部分は、何と布のかたさ、シャープさを表しているのでしょう?。私には、そう思えました。
すなわち、第2室は、布の切られた外側の部分から目にはいり、第1室は、切り残された部分の断面から目にはいるように設置されていたからかもしれません。本当に布というのは、面白い表情を見せてくれます。やわらかくもあり、かたくもあり。吉村さんは、もう何年も布とかかわってきた作家だけに、そんな布の持っている性格を無理なく、布の素直な状態で表現されたのではないでしょうか。織られて組織よくならんでいた布が、切り離されたことによって、生まれる自由な動きをもっとも、素直に感じることが出来るのではないでしょうか。
そしてまた、ここでも2つの部屋の性格の違いがでてきています。同じ素材の同じ形のものを2つの部屋におくことによって、そのものは、また違う表情を見せてくれました。吉村さんの場合は、第2室は、布の持っているやわらかさが、黄味を浴びた照明と重なって、強調され、白い部屋に囲まれた作品は、切り残された耳の断面のクールな冷たさが、そこに流れている空気とともに感じられるような、気がしました。ギャラリーギャラリー 川嶋 啓子

展覧会備考
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