展覧会アーカイブス 1987

grinded fabric 1983-1987
room1/2







作家紹介
- 田中 千世子
掲載紙
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タテ糸とヨコ糸を織りなしながら絵模様をつくるでもなく、紙の上に絵の具をつけながら既成の絵づくりを試みるさけでもない二つの個展。ともに外見上は、ふつうの織物や絵画とさほど変わらないように見えながら、制作上の意識は必ずしも凡庸ではない。
まず、チ密な綴れ織りの麻布地を織る田中千世子。たとえば化学染料(反応性染料)の赤や青に染めた麻糸で反物を綴れ織りした作品にしても、生(き)なりの部分と色彩部分との段変わり模様の新鮮さもさることながら、段変わりする瞬間の接点に、この作家の神経は集中する。それだけではない。いったんチ密に織り上げた麻布地の裏や表に壁土の粉をまぶし、砂地の上でフロッタージュ(こすりつけ)を試みるため、清潔美を誇っていた麻布は壁土で汚れ、地面の小石跡で傷となる。一見、丹精込めて織った布を惜しげもなく傷つける破壊行為にも見えながら、布という素材はさまざまな表情を見せはじめ、再び原始に帰ろうとする。織りの構造に目を注ぎ、最後の一本のヨコ糸のありようにこだわり続ける作者の、醒(さ)めた意識を見る思いだ。(F)京都新聞 1987年9月26日

展覧会備考
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