展覧会アーカイブス 1987

小林正和 小林尚美 展
room 2




作家紹介
- 小林 正和
- 小林 尚美
掲載紙
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繊維造形作家とか染織作家といった概念規定そのものがなじみにくいほど、小林正和・尚美夫妻の仕事は、その都度みずみずしく変貌し、安住することを嫌う。今回の隣り合わせ個展でも、二つの感性が自在に羽ばたく。
小林正和の部屋は、白木の細長い薄板が7枚ほど、山なみ状に連らなって壁面を一周。薄板と薄板のジョイント部分には小石が挟まれ、力学的な緊張感を保つ。床には、これも白木の北山杉丸太が一本。丸太の上表面には平らな切り込みが施され、その一部が壁面の山なみ薄板と逆の弓形になって赤糸をピーンと張る。作者によれば、自然の山で採れた杉丸太が、再び山なみの形を取り戻して山に帰る…という想念が隠されているようだが、そのあらわれ方は少しもわざとらしくない。木と糸のわずかな色彩とが快く響き合う、豊かな広がりの装置的空間。緊張感と大らかさを伴った空間ドローイング(描画)の趣さえ漂わす。
一方の小林尚美は、紙コヨリの糸をグルグル巻きにした空洞のかわいい角棒状が、張りめぐらされた赤い糸の間に浮遊する軽やかな装置。天井の低さが災いして、見上げる効果が十分出ていないのは惜しいが、芯(しん)の角棒を抜き取ったあとのコヨリ糸にはかなさが漂い、手指のなつかしい感触を伝えてくる。二人とも、流行の装置的表現とは一線を画した、糸からの発想ならではの優美さを失わない。(F)京都新聞 1987年4月4日

展覧会備考
ギャラリーマロニエ同時開催(3/31-4/5)