小山 明 ・小林 清美/Akira KOYAMA・Kiyomi KOBAYASHI ( mixed media)

2021年4月10日(土)ー25日(日)12:00 - 19:00 最終日は17時まで

2021年4月10日(土)ー25日(日)12:00- 19:00 最終日は、17:00まで

 

[STATEMENT]

「40cmの視覚劇場STELLOPTICON」は「シネマ・オブスキュラ」や「キノ・サイクル−非物質的たらい回し」など、人間の視覚の構造を考える作品シリーズのひとつであり、ここでは星と言葉を主題とした作品の制作をおこなった。

満天に広がる星のなかから、星と星との関係を感じ取り、意味や形を見出し、「星座」を作り出したのは人間である。太古の時代や古代において、宇宙や世界を記述する壁画や絵画を描き、次第にそれを記号化し言語化したのも人間である。その言語によって構築された「本」は数百年単位の時空を超えてすら、書く人間と読む人間をページの上に結びつけることができる。ケプラーは入れ子の構造をもった多重の宇宙モデルを考えていたが、外部としての宇宙と私たちの現実の社会、そして私たちの内部の言葉の世界も、またひとつの多重の構造の中にあるように思われる。

クルト・ヴァイルの「ロスト・イン・ザ・スターズ」の歌詞のなかには、神が救い忘れてしまい彷徨う私たちの地球が描かれている。私たちは現実の社会にある様々な困難な状況の中でも、空の星と内部の言葉を頼りに、生きていく方向を見出していきたいと願う。

Before Lord God made the sea and the land,

He held all the stars in the palm of his hand.

And they ran though his fingers like grains of sand,

And one little star fell alone.

[ARTIST]

小山明

建築史家。哲学者ヴィトゲンシュタインがウィーンに設計した建築「ストンボロー邸」の研究がライフワーク。『論理哲学論考』と『哲学探究』が二大著書であるが、まさにその執筆の中間の時期に設計されたこの建築の中に、ふたつの著書の関係を解き明かす「数列」の秘密、それを解く鍵となる「言語ゲーム」が存在しているという仮説に取り組んでいる。

ギャラリー・ギャラリーではコンピュータを使ったアニメーションと模型による「人間に考えさせる機械」展をおこなっている。

小林清美

一見すると平面にみえる日本画の画面の中にある無限の色の積み重ねと深さを知って以来、立体的に絵画をとらえるようになった。このことはさらに絵画をその展示空間との関係(インスタレーション)の中に位置付ける試みにつながっていく。

ギャラリー・ギャラリーではギャラリーの窓の配置を風景絵画の構成に重ね合わせた「眺めのよい部屋」の展示をおこなっている。

 

BEARLIN(ベアリン)

小山明と小林清美による作品制作および書籍企画制作をおこなう共同活動ユニット。これまでに『CARDBOARD HOUSES』(宮本隆司著)、『ベルリンデザインハンドブックはデザインの本ではない』(クリスティアン・ボーングレーバー著、明石政紀訳)、『トリノ-夢とカタストロフィーの彼方へ』(多木浩二著)などの出版を行なっている。作品制作は都市計画や建築からメディアアート、インスタレーションの領域にまで広がるが、つねに技術が表現と一体となった作品の制作を目指している。

また、こうした技術と表現に対する考え方や作品制作への姿勢は、神戸芸術工科大学がその基盤とする「芸術工学」の本質とも言えるものであり、今回の展示作品もその制作にあたり大学研究チームのサポートを得ている。