経歴
1958 | 神戸に生まれる |
1979 | 京都にて伝統的な染織工芸を学ぶとともに、独自の創作を開始 |
1991 | 兵庫県新進芸術家海外留学助成制度の一期生として、ロンドン大学ゴールドスミスカッレジ テキスタイルアート科に留学する。 |
1992 | ポストグラデュエイトテキスタイルディプロマの学位習得後帰国 |
現在 | TEXTILE ART & ORAFT”艸” を主宰 62 Group of TEXTILE ARTISTS 正会員、神戸文化短期大学講師 |
個展 | |
1982 | ギャラリー住吉倶楽部(神戸)/’83/’93 |
1983 | 銀花コーナーギャラリー(大阪) |
1985 | ギャラリー北野坂(神戸) クラフトみつの(九州)・TAO(神戸) |
1987 | ギャラリーアートライン(神戸) ギャラリーシバタ(大阪)・土(加古川) |
1988 | ギャラリーパルパローレ(神戸) |
1989 | ザ・ギャラリー(神戸) |
1991 | XEBECホール(神戸) |
1994 | ギャラリー蝶屋(神戸)/’97/’99 アトリエ33(長崎)・アトリエ宿根草(福岡) |
1995 | 千疋屋ギャラリー(東京) |
1998 | ギャラリーギャラリー(京都)/’02/’05 |
1999 | アトリエ宿根草(福岡) あらきカルチャースペース(熊本) |
2000 | PJC+33ギャラリー(長崎) ギャラリーYui(兵庫)/’03 |
2002 | アトリエ宿根草(福岡) 北野ポケット美術函(神戸) |
2004 | EA Gallery (芦屋) 祇園小西(京都) ワコール銀座アートスペース(東京) |
グループ展 | |
1982 | 大阪工芸展 |
1989 | 朝日現代クラフト展(大阪・東京)/’90/’93 伊丹クラフト展(伊丹市立工芸センター)/’90/’93 |
1993 | 英国62グループ展(王立コンウォール美術館・イギリス)/’98/’01/’02 |
1994 | 日本クラフト展(東京・大阪・福岡) |
1997 | 今立現代美術紙展(今立芸術館・福井) |
1999 | 布とくらす・2(リビングデザインセンターOZONE・東京) |
2002 | Tettile in Context(ヴィクトリア&アルバート美術館・イギリス) |
その他 二人展・三人展や舞台美術、ウインドゥディスプレイなど多数 |
展覧会
「-” Daily life with Y “- ’98」
1998年11月14日(土)~28日(土)
私の制作のテーマは、日常の普遍性に潜む意味を探り、自身の心の中、しいては、人間の内面の情感を、テキスタイルアート作品として表現することです。
かつて名もなき人々が、自分たちの生き様を布に刺したり、その想いや願いを縫い込めた様に、荷造り紙をいう、どこにでもある素材を、縫う、刺す、つなぎ合わせる、といった、最も原始的方法で、変容させ、その痕跡を塗りこめる事で、風化していく時間や、それに介在する事物、人との交わりを、紙にとどめ、”心の奥深くあるもの”を、語り継ぎたいのです。この様な制作を通し、人の力の及ばない、何か、臣なき力に包まれて生きている自分を、常に認識する作業を続けています。
今展の作品は、ここ数年の、私の日々の暮らしの中で、大きな比重を占める、幼い息子との生活を綴ってみました。人は、一生かかって、大きな地図の様なものを描き続けていると、常々思っています。それは、蛇行する線であったり、小さな点が、大きな点に拡がったり、或いは、一部削除されたり・・・。
私ももちろん、地図を描き続け、そして今一度、縫う、刺す、塗りこめる、と云う行為で、具体的にその地図をタブローとして再生させてみると、現在の私の地図は、ポッカリと四角い穴が空いています。その穴の向こう側には、字の書けない、言葉も少ししか話せない、違った時空の住まう、やがては普通の人と成っていく息子と共有できるやさしい空気が存在します。それは、在り来たりな母性などに縛られない絆です。そして或る時、その穴をまた元そっと戻すと、臣きな空気の様な力に包まれる自分を各品する事ができます。私の作品は、極めて個人的、求道的なものですが、観る人の心の片隅に或る、忘れかけた物語りを、一時呼び覚ましていただけたらと思います。
「-” Daily life with Y “- 2000」
2000年6月24日(土)~7月8日(土)
私は、完結しない、大きな地図のようなものを描き続けています。
それは、自分にとって、様々に変化していく、日常の心の情景を記録する行為でもあります。具体的には、荷造り紙、というどこにでもある素材を縫う、刺す、つなぎ合わせる亊で出来た、不思議な点と線のつながり、面のうねり、又、それらの痕跡を塗りこめる、と云った単純な作業の繰り返しの結果をテキスタイルアート作品として提示することです。
この様にして、かたちづけていったものたちの、ずっと向こう側、心の奥深くに在る、”みえざる・かたち”を認識し、人の思惑やら何やらの及ばない、臣きな力に包まれて生かされている自分を、制作を通じて、体感していたいと思います。
”今、みえざるものとの しばしの対話を・・・”
「Invisible 2005 千のステッチ、百のあとかた」
2005年9月9日(金)~24日(土)
街角のコンクリートの壁、ひび割れや拡がったしみ、チラシやポスタ-の剥がしあと、ガムテ-プの名残り、路地奥の朽ちたはめ板、そんな多分大方の人にとってはどうでもいいような部分に、私は、強く魅かれ、旅に出ても、ブラブラと街歩きしている時もどんな風光明媚な風景を見せつけられるよりも、心動かされてしまう。そこに、人の行為と感性があった事を、証明する、あとかた、日常の何気ない風景の中に埋もれて仕舞った、他愛無いものたちに切ない物語を、感じてしまう。そう云うものたちに出会ったとき、すごく何か創りたいと、思う。コンセプトとか、制作の意義やらを、越えたもっと無意識な衝動。それは、幼い頃懸命にほじくりかえした穴ボコや、地面一杯に描いたあてどない落書きの行き着く先にも似た、見えないものとの出会いで在り、今の私にとっては、繰り返し布を縫い、つなぎ合わせていく事。壁の内側から浮かび上がろうとする何かと、出会い、対話する為に、置き去りにされた記憶を辿りながらステッチで面を埋め尽くし、そこに心のあとかたを残し、物語を紡いでいきたい。
「Invisible 2008 むこうがわに・在るもの」
2008年2月23日(土)~3月8日(土)